フェンスの耐用年数はどの位?基本的に10年が目安
個人の住宅から駐車場などの施設まで、ある空間を保護する為のフェンスは、大抵の場所で見る事ができます。 これらも物質である以上、時間の経過と共に劣化していく事は避けられません。 普段はあまり意識される事のない、フェンスの耐用年数とは、どの程度の期間なのでしょうか。1.減価償却の際は10年が基本
一般に、フェンスを設置する目的としては、不審者や、動物等の侵入を防ぐと言う防犯上の理由や、強風や雨、雪など自然災害を防ぐ為などが挙げられます。 どの場合にしろ、買い替えるとなれば費用が掛かるのですから、なるべく長く保つものを使用したいと思うのは当然の事です。 耐用年数を考えるにあたり、一つの目安と言えるのが「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表の記載でしょう。 施設を売却する際は、施設物の耐用年数に対して、どこまで使い込んでいるかを考慮し、売却価格を検討するのが一般的ですが、その際の基準となる数字です。 この表の中の「構築物」のうち、フェンスに該当する「へい」は、最もよく見かける金属製及び木製のもので耐用年数10年、コンクリート製は15年と定めています。 資産売却の際も、この年数で計算される事が多く、共通の基準としてはこの年数を考えておけば良いと言えます。
2.耐用年数と使用可能年数
省令で指定されているのは、あくまでも売却の目安となる耐用年数です。 より実際的な意味、すなわち「今使っているフェンスはいつまで大丈夫なのか」という事に対しては、材料や加工方法、そして周辺の気候等によっても、大きく異なってきます。 ここで重要なのは、耐用年数が10年と言っても「耐用年数が尽きていない」という事と「問題なく使える」という事は、常にイコールではないという事です。 例えば、設置して1年しか経過していない場合ならば問題はなくても、9年が経過している場合ではあちこちが著しく劣化し、災害等の不足の事態にあっさり破損してしまう可能性があります。 それも踏まえて、最もよく使われる安価なフェンスの耐用年数は、5~8年程度としておく見方が一般的です。
3.木製フェンスの耐用年数
木製フェンスの耐久度は、原材料となる木材によって変動します。 例えば、シダー系の木材は、加工がしやすく、DIY分野でも人気がありますが、それ故に耐久性も比較的低く、平均で5~15年と言われています。 これに対して、ウリンに代表されるハードウッド系統の木材は、固くて加工が難しい分、耐久性に定評があり、30~50年程の使用にも耐えうるものが多いです。 また、注意しなければいけないのが雨です。 水に濡れる事で木材が腐食してしまうと、そこから割れ目が入ったりする事で、耐用年数が通常より大幅に短くなってしまいます。 これを防ぐ為、フェンス用の木材には防腐処理を施したものを使う事が求められています。
4.コンクリートフェンスの耐用年数
フェンスの基礎部分によく使用されるコンクリートブロックは、木材とは対照的に、腐る心配が全く無いのが利点です。 この点で、耐用年数としては安定していると言えます。 上述のとおり、減価償却の基準では15年ですが、実際の耐久度としては、きちんと施工すれば30年以上使用する事ができます。 ただし、塀に使用する場合、ただ積むだけではなく、地震などの災害に備えて、中に鉄筋を入れて補強しなくてはいけません。 普段の使用には問題がなくても、いざ地震が起こった際、中の鉄筋が劣化していて崩れてしまったのでは、大事故に繋がる可能性もあります。 コンクリートフェンスの耐用年数を計算する際には、中の鉄芯も含めた、全体的な耐久度をきちんと考慮しておきましょう。
5.スチール及びアルミフェンスの耐用年数
スチール、つまり鉄製のフェンスは、衝撃に強く、安価で大量生産が可能な為、様々な所で用いられます。 スチールの耐用年数に最も大きく影響するのは、錆びる事による強度の低下です。 鉄の錆びは大気中の埃や亜硫酸ガスなどの排気ガス、海塩などが付着する事によって起こる為、潮風の当たる海岸近くや、工業地帯の近隣では劣化のスピードがかなり早まり、その分だけ耐用年数も短くなります。 対照的に、合成樹脂であるアルミは、スチールと違い、錆びる可能性が非常に低い為、その分だけ耐用年数も安定しています。 短所としては、スチールと比べて強度に課題がある為、物体の衝突など、強い衝撃を受けると、他の素材と比べて大幅に寿命が短くなる欠点があります。
6.耐用年数を増加させるメッキ加工とは
スチールやアルミに対して、表面にメッキ加工を施し、劣化の速度を抑えて耐用年数を延ばすという手法も存在します。 外構用に販売されているフェンスには、こうした処理を施されているものが多く、環境やメーカーによりますが、通常の都市で使用した場合は、50~60年の耐用年数を持つとされています。 海岸ではもちろん影響を受けますが、それでも約20年と、通常より遥かに長く使える仕様となっています。 加工を施す手段としては様々なものがありますが、最も一般的なのは亜鉛メッキ加工です。 同じ技法でも、メッキの付着量によってコストや耐用年数には差が出る為、設置前に確認しておきましょう。
フェンスの耐用年数を知っておこう
フェンスの耐用年数は、材質や加工にとって様々な違いがあります。 長く使用できるものが良いのはもちろんですが、施工の際には景観や設置コスト等の問題が絡んでくる為、耐用年数だけを考えて選ぶのも難しいところです。 何処で、何の為に設置するフェンスなのかという事を考え、専門の業者に相談する際も、しっかりと希望を伝えた上で、選択していく事が重要です。